<教えよう>と思ってはいけない??
2020/04/04
犬の専門家養成学校を卒業するときに、先生に言われたことがあります。
「教えよう、教えようと思わないでね!」
え?なんでなんで??
ココで習ったことをお客様に教えるのが仕事なんじゃないの??
と、いただいた言葉の意味を理解できなかったんですよねー。
だって、知識だけじゃなくて、それをうまく伝える方法まで習ったんですよ。
なのになんで「教えよう」としちゃいけないんだろう・・・
心が反比例
犬の専門家の方からこんな相談をよく受けます。
- 教えようとするほど、こちらが空回りしているような・・・
- 教えようとするほど、お客様の心が離れていっている、気がする。
- どんなやり方をが教えても全く受け入れてくれない。
教えようとこちらがヒートアップするのと反比例するように、お客様の心が冷めていく・・・
そして最後には「何もやってくれないお客様が悪いっ!」て匙を投げてしまったり。
誰から言われるのか
ある程度の状況を聞いただけで、<あ、そのケースは問題はこれだよね>ってわかってしまって
「その場合はこういう風にしたらいいですよ」ってアドバイスしたくなるんですが・・・
お客様がまだ、あなたを信頼している状態ではないかも、しれないですよね。
同じことを言われるのでも「誰に言われるか」ってとても大事です。
いくら「専門家」でも、つい何分か前に会った方からのメッセージは
「この人の言うことは信用できる」って思っている方からのメッセージと響き方が違います。
ここで差がつく「聴く力」と「質問力」
「聴く力」ってすごく大事なんですよねー。
- 何を困っているのか
- いつからそうなったのか
- どういうことを今までやってみたのか
- どんなときにどうなるのか
などなどなど・・・
聴きだすためにはいろんな角度からいろんな質問ができることも重要だったりします。
お客様からのQに対してA:答える このパターンが絶対ではなくて
お客様からのQに対してQ:質問する というパターンがあってもいいのです。
お客様がお話しているうちに頭の中が整理されて、自ら答えを導き出してくれることも、あります。
自分の中から出てきた答えなので納得しますよね。
だけど、お客様はこちらが答えを出してくれた、と思ってくれます。
そして「この人は私のこと(+愛犬のこと)よくわかってくれる」と(なぜか)思ってくれます。
こちらとしても、お客様自身のパターン(性格や生活)も見えてくるし、それに沿った(無理のない)方法をお伝えすることもできますよね。
自分ができそう!って思えると、やってくれるものです。
最初から高度なことを要求してはいけません。相手は私たちと同じ専門家ではないのだから。
「しつけ」じゃなくても同じ法則
トレーニングの例を挙げましたが、しつけ以外も同じ法則が当てはまります。
たとえばマッサージのようなセラピストの場合、
「犬に施術しなくてはいけない!」呪縛?に駆られて
緊張していたり、怖がっている犬の様子を読み取り切れず、無理やり触って施術をして
結果、犬には何もいい結果が残らず、しかも犬に嫌われてしまう・・・というケース、本当によく耳に入ってきます。
本人は気が付いていないんですよね・・・ただただ、施術の技術が足りないのが原因だと思っちゃっている・・・
このケースは、「犬の様子をよく見る」ことが大事ですよね。(→犬の声を「聴く」ってことですよね)
「自分の施術」をしなくちゃ!って前のめりになって、本来の目的「癒してあげる」「リラックスさせる」とは反対のほうへいってしまってます・・・
そんな愛犬の様子を見て、お客様は次も頼もうって思いませんよね・・・
最悪な場合、「あそこの施術全然よくない!」って犬友に言いふらすかも・・・
まずは相手の気持ちや状態をリラックスさせることを考えてみましょう。
「聴く」「質問」「共感」
お客様の言い分をよーく聴いて
いろんな角度から質問をして問題をあぶりだす。
今の状況や、今までやってきたことに対して「共感」する。
※共感と同情とは違います
<同情:相手と同じ気持ちになること><共感:相手の気持ちを理解すること>
このステップが踏めるか踏めないか、それだけでお客様の信頼度も変わってきますし
そのあとに続くお客様になってくれるかもすごく変わってきます。
教えようと思わない。提案しよう
「提案する」という表現がしっくりくるかなぁ。
教えるっていうと、どうも上から目線とか、押し付ける、みたいなイメージがあるんですよねぇ。
「こうしてください」じゃなくて「こうしてみてはいかがでしょう?」みたいな。
提案するためには、相手にあわせたものが必要。
そのために聞いたり質問したりすることも必要になってきますからね。